FX のシステムトレード 2 :自作 EA の作り方

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FX投資:FXのシステムトレード 2:自作EAの作り方

EAとは?

EA(Expert Advisor)とは、MetaTrader 4(MT4)やMetaTrader 5(MT5)といったFX取引プラットフォーム上で、あらかじめ設定した取引ルールに基づいて自動的に売買を行うプログラムのことです。トレーダーの代わりに、市場の分析から注文の発注・決済までを24時間自動で行うことができます。これにより、感情に左右されない規律ある取引が可能となり、時間的制約も克服できます。

自作EAのメリット

自作EAを作成する最大のメリットは、自身のトレードスタイルや市場分析に基づいた、完全にカスタマイズされた取引戦略を実装できる点にあります。市販されているEAは、特定の戦略に特化している場合が多く、自分のトレードに合わないこともあります。しかし、自作であれば、インジケーターの組み合わせ、エントリー・エグジットの条件、リスク管理のルールなどを自由に設計できます。また、開発プロセスを通じて、自身のトレード戦略をより深く理解し、論理的に構築することができます。さらに、外部に依存することなく、自由に改良や改善を加えられるため、市場の変化に対応しやすいという利点もあります。

自作EAの作成プロセス

自作EAの作成は、大きく分けて以下のステップで進められます。

1. 取引戦略の考案

まず、どのような取引戦略でEAを構築するかを明確にする必要があります。これは、自作EAの根幹となる部分であり、最も重要なステップです。

1.1. トレードルールの定義

* **エントリー条件:** どのようなテクニカル指標の組み合わせや価格パターンで新規ポジションを持つのかを具体的に定義します。例えば、「移動平均線のゴールデンクロスが発生し、かつRSIが30を下回った場合に買いエントリー」といった具合です。
* **エグジット条件:** ポジションを決済する条件も明確に定義します。
* **利確(Take Profit):** 利益確定の目標値を設定します。一定のpips数、特定のテクニカル指標のシグナル、またはトレーリングストップなどを利用します。
* **損切り(Stop Loss):** 損失を限定するための損切り注文を必ず設定します。これもpips数、特定のテクニカル指標、または直近の安値・高値などを基準にします。
* **資金管理(ロットサイズ計算):** 1回の取引で許容できるリスク(資金に対する割合)を決め、それに基づいてロットサイズを自動計算するロジックを組み込みます。これは、破産リスクを回避するために非常に重要です。
* **時間帯・通貨ペアの限定:** 特定の時間帯や通貨ペアでのみ取引を行うように設定することも可能です。

1.2. テストと検証

考案したトレードルールが過去の相場で有効であったかを検証します。これは、ストラテジーテスターなどを利用して行います。

2. プログラミング言語の選択と学習

MT4/MT5でEAを作成するには、MQL4(MT4用)またはMQL5(MT5用)というプログラミング言語を使用します。

2.1. MQL言語の基礎

MQL言語はC言語に似た構文を持つため、C言語などのプログラミング経験があれば比較的学習しやすいでしょう。基本的な変数、データ型、演算子、制御構造(if文、for文など)、関数などを理解する必要があります。

2.2. EA作成に特化した知識

* **注文関数:** `OrderSend()`(MT4)や`OrderSend()`(MT5)などの関数を使用して、売買注文の発注、利確・損切り設定を行います。
* **テクニカル指標の取得:** `iMA()`(移動平均線)、`iRSI()`(RSI)などの関数を使用して、テクニカル指標の値をプログラム内で取得します。
* **ポジション管理:** 現在保有しているポジションの情報を取得し、損切りや利確の実行を管理するロジックを記述します。
* **エラーハンドリング:** 注文が通らなかった場合などのエラー処理を適切に行うことが、安定したEA稼働のために重要です。

3. EAのコーディング

考案した取引戦略をMQL言語で記述していきます。

3.1. エディタの利用

MetaEditorというMT4/MT5に標準搭載されているエディタを使用します。構文の色分けやコード補完機能などがあり、効率的にコードを書くことができます。

3.2. 基本構造

EAは、主に以下の3つの関数で構成されます。

* `OnInit()`: EAがチャートに適用された際に一度だけ実行される初期化処理を記述します。
* `OnDeinit()`: EAがチャートから削除された際に一度だけ実行される後処理を記述します。
* `OnTick()`: 新しいティック(価格変動)が発生するたびに実行されるメインの処理部分です。ここで、エントリー・エグジットの判断や注文の発注を行います。

3.3. パラメータ設定

EAの動作を外部から変更できるように、マジックナンバー、ロットサイズ、移動平均線の期間などのパラメータを設定できるようにします。これにより、同じEAでも異なる設定でテストや運用が可能になります。

4. バックテストと最適化

作成したEAが、過去の相場でどのようなパフォーマンスを発揮するかを検証します。

4.1. バックテスト

MT4/MT5に搭載されているストラテジーテスターを使用して、過去のデータに基づきEAの取引結果をシミュレーションします。

* **期間:** 十分な期間(数年程度)でテストすることが重要です。
* **スプレッド:** 実際の取引に近いスプレッドを設定します。
* **スリッページ:** 許容できるスリッページを設定します。

4.2. 最適化

バックテストの結果を基に、EAのパラメータ(移動平均線の期間、RSIの閾値など)を最適化します。ただし、過度な最適化(カーブフィッティング)には注意が必要です。過去のデータに過度に適合しすぎると、将来の相場では機能しなくなる可能性があります。

5. デモトレードでの検証

バックテストで良好な結果が得られたら、いきなりリアル口座で稼働させるのではなく、デモ口座で実際の市場に近い環境で数週間〜数ヶ月間テストを行います。

* **リアルタイムでの挙動確認:** バックテストでは再現できない、リアルタイムの市場の動きやブローカーの約定状況などを確認します。
* **予期せぬ問題の発見:** ロジックの不備やエラー、予期せぬ市場の動きへの対応などを確認します。

6. リアル口座での稼働

デモトレードで問題がなければ、少額のリアル口座で稼働を開始します。最初はロットサイズを小さく設定し、徐々に慣れていくのが安全です。

自作EA作成における注意点

* **プログラミングスキルの必要性:** MQL言語の習得は必須です。プログラミング未経験者は、学習に時間を要します。
* **ロジックの難しさ:** 有効な取引戦略を考案し、それを正確にプログラムに落とし込むことは容易ではありません。
* **過度な期待の排除:** EAは万能ではありません。市場は常に変化するため、期待通りの利益を常に上げ続けるとは限りません。
* **リスク管理の徹底:** 損切り設定やロットサイズ管理は、EAの成否を分ける重要な要素です。
* **定期的な見直しと改善:** 相場状況は変化するため、EAのパフォーマンスを定期的に確認し、必要に応じてロジックやパラメータの見直し、改善を行うことが不可欠です。
* **VPSの利用:** 24時間安定してEAを稼働させるためには、VPS(Virtual Private Server)の利用を検討しましょう。

まとめ

自作EAの作成は、FX取引において高度な自動化とカスタマイズを実現できる魅力的な方法です。しかし、そのためにはプログラミングスキルの習得、精緻な取引戦略の考案、そして rigorous なテストと検証が不可欠です。一朝一夕に完成するものではありませんが、自身のトレードスキル向上にも繋がり、より洗練されたFX取引を目指すトレーダーにとって、挑戦する価値のある分野と言えるでしょう。